INNOVATION CASE
イノベーションの事例
EV/PHEV車向け過熱保護用直流遮断器
イノベーションの事例01

EV/PHEV車向け過熱保護用直流遮断器

EVやPHEVに搭載され、異常通電から
人とクルマを守る直流遮断器。
直流電流は遮断できにくいという
常識を打ち破った。

EVやPHEVに搭載され、異常通電から
人とクルマを守る直流遮断器。
直流電流は遮断できにくいという
常識を打ち破った。

今後の市場拡大が期待されるEV車。その安全策として異常通電による過熱から守る直流遮断器はその装置そのものが世界には存在しなかった。高電圧の直流を遮断することはきわめて難しいというのがそれまでの常識だったからである。その常識を破り、これからの自動車需要の主役たるEV向けで売り上げの拡大を目指す。

佐藤 重己
佐藤 重己 SHIGEMI SATO
CSセンター
リサーチ&デベロップメント
技監
1975年入社/理工学部機械学科卒
石井 成尚
石井 成尚 SHIGENAO ISHII
CSセンター
リサーチ&デベロップメント
グループリーダー
2005年入社/工学部物理工学科卒

「ホントにできたの?」との声

発端はある重工メーカーを訪ねた時だった。直流を遮断する装置を探しているが、見つからないという相談話。それを聞いた時、「うちのバイメタルを使えばできるのではないか」と考えたのが始まりだった。いくつかのトライを経て、シャッター方式と呼ばれる遮断方法にたどり着き、高電圧の直流でも遮断できることを証明したが、それには高電圧で試験できる設備や高速カメラの購入をすんなり認めてくれた会社側の協力も欠かせなかった。半年後にはサンプルを提示。この時は先方の事情で保留になってしまったものの、ある展示会でこれを出品したところ、別のメーカーが着目するところとなり、そこにサンプルを提出した。さらに別のメーカーからも声がかかり、そこにもサンプルを提出。なぜ、こうも次々と声がかかったのかといえば、そもそも高電圧の直流電圧で温度を感知してダイレクトに遮断する装置そのものが存在していなかったからだった。直流の遮断は簡単にできないというのが常識であり、いろいろ探したけれど、見つからなかったと言っていたあるメーカーの担当者など、サンプルを持参したら、「え、ホントにできたの」という反応だった。

「ホントにできたの?」との声

いずれ巨大需要を生み出す期待

世界で初の感熱式直流遮断器だが、決してハイテクではない。むしろローテクである。培ってきたバイメタルの技術があり、またセーフティ・テクノロジーにこだわり続けてきた生方製作所だからこそできた製品だった。世界初だから担当者から次のような要請もあった。「遮断できることはわかった。しかし、この構造でなぜ遮断できるのかをロジカルに説明した資料が欲しい」と。先方がEVメーカーに採用を働きかける際、そういった資料がないと納得してもらえないというのだ。そこで出した結論が大学の先生に数式での理論化をお願いすること。こちらから原理と構造を説明し、試験データも提示して数式で理論化してもらったのだ。そうした画期的な装置だったにもかかわらず、いまだ納入実績がないのは、EVそのものの市場がまだ小さいからである。しかし、EVがこれからの自動車需要の主役になることは確実であり、その時こそ、この直流遮断器は大きな需要を生み出すことになるだろう。早すぎた開発だったけれど、まもなく花が咲き、結果が生まれるものと確信している。

いずれ巨大需要を生み出す期待