INNOVATION CASE
イノベーションの事例
エクスターナルサーマルスイッチの共同開発
イノベーションの事例02

エクスターナルサーマルスイッチの共同開発

未着手だった
エクスターナルサーマルスイッチを
提携先と共同開発し、
中国市場の開拓に挑む。

未着手だった
エクスターナルサーマルスイッチを
提携先と共同開発し、
中国市場の開拓に挑む。

生方製作所はインターナルプロテクターで約7割のシェアを保有するが、インターナルの2倍の市場規模を持つと言われるエクスターナルサーマルスイッチ製品は生産していない。その技術を持つメーカーとの提携によりエクスターナルタイプのスイッチを共同で開発し、生方製作所は巨大な中国市場の開拓を狙う。

安宅 孝志
安宅 孝志 TAKASHI ATAKA
CSセンター デザイン1
グループマネージャー
1993年入社/工学部機械学科卒
粕谷 幹俊
粕谷 幹俊 MIKITOSHI KASUYA
CSセンター デザイン1
2011年入社/工学部電子電気工学科卒

2倍の市場規模を狙え

もらってきたスイッチを試験したが、結果は製品化には程遠いものだった。もらってきたのは携帯電話のバッテリーに使われるスイッチ。ところが狙っているのはエアコン用コンプレッサーにつけるサーマルスイッチである。電圧が違うから製品化できないのは当然だった。それまでの経緯はこうである。当時、生方製作所はエクスターナル市場をターゲットにした新製品開発を進めていた。そこに、お互いの強みを活かせるんじゃないか?と紹介を受けたのが携帯電話のバッテリー用スイッチを作っているメーカーだった。コラボレーションによって、製品化することができ、中国市場への展開も見えたためこれを受け入れることに。コンプレッサー向けのインターナルプロテクターでは約7割の市場を握るが、その倍の市場規模を持つエクスターナルタイプの製品は持っていない。もし、開発ができて中国市場に投入できれば、確実に成果が得られるだろう。こうしてそのメーカーとの提携が決定したのである。生方主導で開発し、提携先のメーカーで量産、生方が自社ブランドで発売する。ところが、そのスイッチが(市場の要求を)満足できる水準にはなかったのだ。

2倍の市場規模を狙え

待ってろ、中国市場

スイッチとしての信頼性を高めるには高電圧に耐えられるよう接点を大きくしなければならない。また、寿命を延ばすためバイメタルの温度帯と耐久性のバランスを取ることも必要である。この観点から設計を進め、試作ができるごとに提携先に送り、量産の検討をしてもらった。生産を担当する提携先はできれば既存の設備を使い、初期投資をできるだけ抑えて量産にかかりたいとの意向を持っていたからだ。そこで提携先の設備仕様を念頭に置いて設計を進めていった。提携先が得意とするのはインサート成形を含めた樹脂成型。ただ、今回の形状は過去に経験がなかったため、チャレンジングな部分があった。生方のプロテクターにおけるノウハウと提携先の樹脂成形におけるノウハウが合わさり、大きな初期投資をすることなく量産に目途をつけることができた。
まだ、最終的なデザインやコストなどをブラッシュアップしていく必要はあるが、納入先での評価も始まっているから中国市場に投入される日もそう遠くはない。この際、1990年代終わりから中国に現地法人を設立し、実績を重ねてきた生方製作所の経験が生きてくることは間違いがないだろう。今は、中国のエクスターナルサーマルスイッチ市場よ、待ってろという心情だ。

待ってろ、中国市場